大判例

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東京高等裁判所 昭和38年(ネ)2818号 判決

原審証人真柄国松の証言、当審における被控訴人高田カツミ本人尋問の結果を綜合すれば、前記A地およびB地の各部分が、それぞれ高田寿太郎および真柄国松に賃貸されるに当り、右各地上に建築すべき建物の種類、構造については、なんらの約定もなされなかつたし、また、高田寿太郎が、前記のとおり、B地についての賃借権を譲り受けた後において、鈴木吉雄と高田寿太郎との間にこれについて特段の約定がなされなかつたことを認めるに足り、原審証人鈴木吉雄、当審証人鈴木マキの各供述中、右認定に反する部分は、いずれも前記各証拠に照し措信しがたく、他に右認定を動かすに足る証拠はない。したがつて、鈴木吉雄と高田寿太郎間の本件土地賃貸借は、堅固な建物以外の建物の所有を目的とするものであつたと認めるを相当とする。

高田寿太郎が昭和三三年二月二五日本件土地およびこれに隣接する同人所有の土地に跨つて、鉄骨造りの平家建工場の建築を計画し、同年四月二日右建築工事を開始し、右両地に跨り別紙第二目録記載の建物部分を含む建坪八八坪余の本件建物を建築したことは当事者間に争がない。

本件建物の構造が、鉄骨、ラチス柱、ラチス梁構造で、外壁および屋根材料は波型トタン張り、南側および西側の各開口部にはいずれも鉄鋼製防火扉が使用されており、柱はアングルフランジラチス、はかま板、ペースプレートの組み合せで、ラチス柱の基礎は各別のコンクリート礎石、外壁の基礎は高さ三〇糎、幅一〇糎の布コンクリート台であることは、いずれも当事者間に争がなく、原審証人鈴木吉雄の証言によれば、本件建物の基礎工事は普通の木造建物の場合とは異なり、長さ一六尺ないし一八尺の松丸太を三本まとめて打ち込んだ上をコンクリートでかためて、柱の土台となしており、打ち込まれた松丸太の数は三〇本を下らないこと、および本件土地は杭打をしなければ普通木造家屋の建築ができないような軟弱な地盤ではないことを、また、原審鑑定人森本博の鑑定結果によれば、本件建物の耐久力は半永久的のものであることを、それぞれ認めるに足り、右各認定を動かすに足る証拠はない。右の各事実に、いずれも昭和三三年四月中の本件土地上の建物の写真であることについて当事者間に争のない甲第九号証の一ないし四、甲第一〇号証の一ないし五、甲第一一号証の一ないし一〇を綜合して考えると、本件建物は借地法第二条が堅固な建物の例示として揚げている石造、土造、煉瓦造などの建物に比し、その耐久力と堅牢性とにおいて、これらの建物に優るとも決して劣るものではないと認め得るから、本件建物は同法条にいう堅固な建物に該るものと認めるのが相当である。被控訴人らは、本件建物は、土地との定著性が本造建物の場合となんら異ならず、その収去も容易なものであるから、堅固な建物ではない旨主張し、原審証人越川由四郎の証言によれば、本件建物はその柱、トラスなどがすべてネヂで止めてある関係上、その収去は木造建物の場合に比し必ずしも困難でないことを窺い得る。しかし、収去の難易は、堅固な建物とそうでない建物との区別判定の一の基準とはなし得ても、唯一の基準であるとは解しがたく、本件建物の構造、その基礎工事の施行方法および本件建物の耐久力と堅牢性が前記認定のとおりとすれば、その収去が木造建物の場合に比しさほど困難でないとしても、そのことから直ちに本件建物を堅固でない建物と断定することはできない。また、上記認定の各事実によれば、本件建物の土地との定著度は、木造建物の場合に比しより強固なものであると認め得る。したがつて、被控訴人らの右主張は採用できない。

(村松 土井王 兼築)

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